会社に行けば取引先や近隣の会社の自己破産申請や倒産を目の当たりにし、ネットニュースやテレビを見れば、景気の悪いニュースが印象に残り、
友人や同僚との話題といえば、先行きに不安があることばかりで明るい話題になりにくい今日この頃。
ランチタイムも飲み会もなかなか明るい雰囲気を維持することが難しく、まあなんとか頑張ろうと慰めあっています。
今日も受注が少なくなってきたけれども、この先、大丈夫だろうかと不安になりながら帰宅。
そんな毎日を送る中でも若干、ほっこりすることが我が家周辺の日常生活の中に多々あるのです。
都会とは違う田舎町の暮らし
わたしは都会から離れた田舎町に住んでいるため、自宅周辺の話題は若干、世間とは無縁の世界にあります。
冠婚葬祭はもちろん重要関心事で、救急車のサイレンが聞こえるとどこで何があったか知りたくて、近隣の住人は家から出て情報源を求めるのです。
あの辺に止まったから、団地内で誰かが怪我をしただとか、周辺地域に唯一ある酒屋さんの前で接触事故があっただとか、
通常では避けがちの人の幸不幸に足を突っ込みたがる方を中心に、井戸端会議が繰り返されています。
先日、わたしが帰宅時に乗車していたバスの運転手さんが、終点の駅まで我慢ができなかったため、
途中の駅でいったんバスを止めて、トイレに行ったときは、事故があったのか、何か事件があったのか、近所の方は興味津々で、
わたしの携帯電話はしばらくの間、コールが鳴りやみませんでした。
未婚の女性に対しては、いつ結婚するのか、何故、結婚していないのかが議題に上がり、
旦那様と上手くいっていないように見受けられる女性が居れば、離婚の危機と噂が絶えない井戸端会議が繰り返され、
わたしの出勤時も帰宅時も同じ場所で同じようなメンバーが議論しあっています。
自営業で、時間に都合をつけやすい職業の方が多く、集合することに支障がないメンバーが多いことから成り立つこの集団行動は、
はた目から見てばかばかしいように見えますが、何かあればとてつもない結束力を発揮するので、
噂話のネタになっていることが分かっていても、文句を言わず知らないふりをして過ごしています。
昔は、世間知らずで片田舎のつまらない集団だと思っていたのですが、今話題の問題解決の糸口が、実はこの集団にあるのです。
田舎の井戸端会議は地域を救っている
まず、孤独死は、この地域には有り得ないのです。
あそこのおばあさんが今日の井戸端会議に来ないとなると、話題に事欠くと家庭訪問。
その際、たまたま体調不良で寝込んでいたおばあさんを発見し、すぐに救急車を呼ぶことができたりします。
ご家族がそのことを知ったのは、その日の夜遅くだったため、
わたしが帰宅する時に、何度も近所の方に頭を下げるご家族の姿を目にしました。
あのおじいさんの散歩姿は熱中症じゃないかと大騒ぎしたり、いつまでも窓が開けっぱなしだと寒い土地柄のため、
窓がいつまでも空いたままの高齢者のお宅には、外からスピーカー音に負けないくらいの大声で、
窓を閉めるように指示する声が多方面から聞かれます。
徘徊しているお年寄りを見かけると、すぐに家族に連絡したり、、
買い物が多すぎる方を見かけると、今晩のおかずが気になるため、買い物袋を自宅まで運んでくれる井戸端メンバーも多く、
一人暮らしのお年寄りの孤独が許されない環境があるのです。
また、震災の時にはみんなで声をかけあって、早く小学校に逃げようと早朝に声を掛け合い、避難所では協力し合って、
何とか大変な状況を乗り越えることができたのです。
このときばかりは、今までよくぞ文句を言わず、ご近所の方々に噂話のネタにされても揉めなくて本当に良かったと、
自分をほめたたえました。
意味がないように見えて、いざという時に役に立つ田舎の井戸端会議メンバーの結束力を間近で見た経験から、
今では、言いたい放題言っていても別に構わないよと思えるようになり、この環境にやっと慣れてきたような気がするのです。
この地域では都会の合理的で論理的な生き方とは異なる、独特の環境があり、
引っ越してきたばかりの方々には受け入れがたいものがある思います。
少し長い目で見ていただければ、若干の愛情が湧いてみたり、都会でためたストレスに対して、
妙に癒される日常が繰り広げられるのです。
今日も自宅前では、緊急の井戸端会議が展開されていて、議題は本日の薬剤散布のことでもちきりでした。
いつもと要領が違う業者の方が来ていただとか、いつもの方々なら早々に終わらせてくれていたのに、
なかなか終わらなかったから洗濯物が干せなかったことや、
小学校から帰宅した子供たちが外で遊べなかったから大変だったとのこと。
あんたはいいねえ呑気で、と言われながらなんとか自宅にたどり着いたわたしには、
さっきまであった悩んでも仕方がないような悩みはどこかへ行き、
色々あるけれど頑張ってみようと思えるようになっていました。
良いことなのかどうかは分かりかねますが、こののんびりとした田舎暮らしが、実はわたしには向いていたような気がします。
友人と共感が出来た話
私の友人で奈良の方に住んでいる友人がいるのですが、話を聞くとけっこうな田舎に住んでいるようです。私の住んでいる田舎町とあまり変わらなく、その地域でも井戸端会議は行われているようです。
田舎は都会と大きく違うところはやはりこの井戸端会議だと思います。
さっき話をした孤独死とは無縁なことと、その友人の地域では冠婚葬祭があったときにどのこの会社が良いとか、どこが悪い何といった会議もあるようです。奈良で葬式をするならこの葬儀社が良いよっていう話ならポジティブですが、良くない会社の話も広まるのは大変ですね。
冠婚葬祭に限りませんが、だからこそ田舎の会社さんは地域に密着したところが多いのかなと感じました。
私の地元でもそうですが、本当に悪い噂は広まるのが早いですからね。それは本当に怖いです。
でも、孤独のようなこともなかったり災害が起きたときに協力しあったり井戸端会議には良い面もいっぱいあって地域の結束力が本当に高まります。それは友人も同じようなことを言ってました。
都会に比べ田舎もなかなかいいことがあるなと共感し合えたのは嬉しかった。
友人とこの話をした後も、私はやっぱり田舎が向いているんだなと思いました。都会を憧れることも正直あるけれど、私は私でのんびりとこれからも田舎生活を過ごしていきます。